以前のまとめから多少公開特許が増えたようなので記載します。
今回はDAM関係が多いです。
◆特開2016-180965 ヤマハ株式会社
デュエット採点に関する特許です。 デュエットの歌唱タイミングの一致度を評価するものです。
おそらくDAMのデュエット採点用。
◆特開2016-177144 ヤマハ株式会社
歌唱評価の基準を安定させつつ、歌唱技法に対する評価の冗長性をもたせるもの。
例えば歌唱特徴のひとつのビブラートをしない場合でも著しく低評価にすべきでもなく、ビブラートが不要な区間にビブラートをして評価が不安定(多分ビブ稼ぎ対策)になるのも回避するもの。
ビブラート以外の歌唱特徴にも同様に適用されます。
基準データを元に7つの実施形態で、ピッチ、音量速度(音量の微分)などを評価していくものです。
基準データはメロディのMIDIデータでも、手書きの波形をスキャンしたものでもよいなどと幅ももたせてあって、主に歌唱評価の今後の基本的な特許のひとつになりそうです。
◆ 特開2016-173562 ヤマハ株式会社
メロディに依存せずに音の評価を行うもの。
8つの実施形態で、メロディに依存せず歌唱を評価するもので、例えば第6実施形態ではコードなどからも歌唱を評価するものです。
基本的には440Hzから100cent間隔(特許にそう書いてありますが、何の単位かさっぱりわかりません)で基準ピッチを定義して評価するもののようです。
最も基準となる基準音は440Hzでも442Hzでもチューン情報として持たせるようになるようで、楽曲がロックなのかポップスなのかといったスタイルによって基準のAの音が440Hzや442Hzになっている原曲の場合にもきちんとした音程になるようです。
歌唱データでも、歌唱合成データでも、楽器演奏データに対しても応用できるような、今後のDAMの総合的な基本的な採点特許のひとつになりそうな特許です。
◆まとめ
以前に紹介したJOYSOUND(ブラザー)の原曲至上主義とはアプローチの異なる、歌唱を評価するポイントがかなり織り込まれた採点用評価基準であると思われます。
これは実装が楽しみですね。
ただ、こうなってしまうと、楽曲のメロディってなんだっけ?って疑問が少し出てきますよね。
明らかに原曲と違う音で発声しても和音にあれば高評価されるのは、即興的な感覚としてはありですが、原曲を聞きなれた人にとっては「そこ違うし」ってなりますし、音楽的素養のある程度ある人が雑に原曲を聴いて歌った場合でも結構高評価が得られるわけで、それってちょっと違うんじゃ?って気がしたりもします。
まあ、音楽なので楽しむのはありだと思いますが、採点という話になると「???」って感じが否めません。